できることはいろいろある「なぜか複雑な環境で育ったわけでもないのに」

生まれつきか環境かっていうのは議論が分かれるところなんだけども、どんな「普通の」家庭にも、そりゃ人を委縮させるような要素もあれば、自分のせいだと思いやすくするような要素もあったりすると思うんだよな。いろんなことが起きる。こういうのは半分以上は環境で決まるんじゃないか、という学者とかもいるんだけども、校長は、生まれつきの要素がすごく大きくて、スタートのところが違うことで、のちの環境の影響でどんどんそれが強化されていくような感じなんじゃないかなと思っている。

まぁそこはちゃんと研究しているわけでもないけど、各種の動物、いやダンゴムシですら、臆病ですぐ丸まるのもいれば、アグレッシブなのもいるからな（校長は動物とかダンゴムシも飼育する人間なんだけども）。想像できる通り、ダンゴムシに環境の差もへったくれもないからな。同じ場所で過密で大混乱の中で生きているだけなわけだから。

たぶん何人か子供がいる人なら分かると思うぞ。ごく初期の段階からだいぶ反応が違うな、と。まぁだからいろんな人がいるのさ。背の高さが違うように。

ってそんな前置きはどうでもいいわな。前置きが長い。

君は、いろんな性質がミックスされているかなと思う。一つは、すごく感受性が強くて、敏感、刺激を強く受け取ってしまう人かもしれない。そもそも刺激がビンビン心にきてしまうという根本のところがあるから、関係が遠いうちは安心だけど、なかなか近づけないのではないか。人の反応とか言葉、気持ちが怖い。

もう一つは、内向性。自分のほうに矢印を向ける人、というイメージ。まぁそれは「敏感だから」ということと分かれていないかもしれないが、とにかく、人にお世話になっていいと思えない、自分の中で片づけたり完結しないといけないと感じやすい、影響を人に与えるのは許されないと感じやすい。

自己否定は、どうかなぁ。自己肯定感が現状は低いと思うけど、そこは生まれつきではないように思う。怖がりなのと、内向性のミックスで、「こんな自分は・・・」と思ってしまうけど、そこは状況次第でだいぶ変わるのではないか、なんて予想する。

内向性と、刺激を強く受け取ることがミックスされると、人との距離を取るだけでなく、発信したり人の反応を見るのが怖くなるから、おしゃれをすることなんかも慎重になってしまうと思うんだよな。「むしろおしゃれをしないほうが人の反応が怖い」ということにでもなれば、ある程度のところまではできると思うけど、人より目立つところまでいこうとは思いにくいかなと思う。

でもこういう人はすごいポテンシャルを持ってると思うけどな。敏感さと臆病さによってよく人を観察できていたり（と言っても直接関わる相手に関しては、ざわめく自分の心という邪魔が入って、観察に客観性を欠くことが多いが）、把握しようというパワーが凄いことで物事の学習が早かったり、自信がついたことはのめり込めたり、一つの壁を越えたら相手のことをものすんごく好きになれたり。君の相談内容も、自分で気付かないかもしれないが、非常に整然としていてよくよく物事を観察できているなと思う。これって勉強のできるできないとも違うんだよな。

君は大丈夫。大丈夫だけど、放っておくと確かに悪循環に陥りやすいから、意識的に動いたほうがいい部分がある。

ところで、自分の性別に違和感があるとか、そっちじゃないよな？たぶんそうではないと思うから、そうではない前提で言うけども。

まずファッションについては、ムズムズしたり周りの目がいろいろ気になるのは分かるが、それを意識的に無視して、よくよく研究して、「普通の、感じが良い」を極めようとする。これは大事。研究すればするほどセンスが磨かれる。磨かれるセンスは、先鋭的に自分を表現する方向ではなく、「感じの良さ」を突き詰めることで、変なことにはならないだろう。そしてそれが君の心に合っていると思う。「感じが良い」は、やりすぎることと違うからな。いつも校長が言うんだけども、超美味しいカステラを作るようなもので、「うおー！」と驚くようなものではない。しっかりした卵の味とか、完璧な甘さの調整とか、本当に「ちょうどいい」の極みなんだよな。

君は基本的に、一山越えて自信がつけば、相当に乗っていけるし心が落ち着いていく人なんだよな。でも越えるまでの、初動が難しい人でもある。だから最初は、意識して山を越えていかないといけない。そして、おそらく君のような人は、研究すれば完璧にできる。超オシャレでなくても、あぁこりゃ誰もツッコミどころがないわというところまで、すぐいけるから。そしてそれは人と接するときの怖さを克服することに、わりと寄与するだろうと思う。

先に言っておくが、虫の居所が悪い人が世の中には一定数いて、もしかしたら君が価値あることをすればするほどにちょいちょいつついてくるかもしれない。そこを見誤らないことだ。傷ついたのは自分のせいじゃない、相手は相手自身の問題でそれを言っているだけだ、と。

次は人間関係について。「しゃべり方が固いというか難しいからキツく感じる」にショックを受けたようだけど、まぁこれって嬉しくないが貴重な意見なんだよな。もう少し年齢が上がると誰も何も言わず距離だけができるようになるから。

心の中は超しっかりしているのに天然とか無邪気とか子供っぽく振る舞って心を守る人もいるけど、君はそのまんま硬化させる方向で、緊張や引いている気持ちが分かり易く喋り方に反映されているんだろう。で、それはファッションの件とは違って、もう放っておく。むしろ、それが自分の生き方が反映された喋り方だから、それでいいわ、と。

人間関係も一山越えてほしいんだけど、その前に、まずよく観察して客観的に評価してほしいんだよな、世界を。ファッションの件もちゃんとした後なら、なお良い。それで世界を見渡すと、ちょっとつついて傷つけてくる人も実はその人の問題があったり、みんなそんなに大したことを考えていなかったり、言っている人の気持ちの軽さ（適当さ）のわりに自分が考えすぎていたり。人や世の中を知れば知るほど、実はそんなに凄い感情やら意図やらが動いていなかったり、偉そうにしている人もたかが知れていたり、だんだん等身大が見えてくる。そして意外と自分はそんなに笑われたり何か言われるような人じゃないというのも分かってくる（これのためにファッションの件が大事なんだけども）。喋り方が硬くてビビリなぐらいほっとけ、むしろみんな他にいろいろありまくるだろ、と。

世の中の等身大が見えれば見えるほど、君の喋り方の硬さも、徐々に自然な硬さ（というのも変だが）に近づいていくさ。君の特徴を残したまま、自然な感じに、一晩置いたカレーの味みたいになじんでくる。自分を肯定したり力が抜けると、喋り方がなじんでくるんだよな。

君の硬さは、実は喋り方の問題ではないから。心が、防御が、反映されているだけ。だから喋り方を改善しようとしてはいけない。君は世の中や人の等身大を知りにいかないといけない。そして自分の心がそれを過大に見せているということも知らないといけない。そのことが君の態度だったり人間関係を改善させるだろう。

恋愛も、抱き着きたい衝動があるらしいが、なんなら抱き着いたっていいんだぞ。いやそれはダメか。もし告白されたり、勇気をもって突っ込んでいける日があったら、一気に進むと思うし、そこがもしかしたら全体の（人間関係や自分の振舞いも含めた）突破口になるかもしれない。その「抱き着く」みたいな方向性、すごく良いから覚えておいてほしいんだよな。君は、自然な形でちゃんとアプローチしたり、アプローチを受けたり、手順を踏むなどということは向かない。無茶な展開や、意識して飛び込むような何かで、一山越えていくほうが向いている。想像してみてほしいんだよな。お互いに意識し合って少しずつ近づいていくより、例えば抱き着いてしまって顔も見ずに話したほうが楽だし気持ちも言える気がする、だろう？そのイメージが君に合ってるからなんだよな。具体的なことはいろいろあるけど、君はそういう人だから、一気に何かを起こすという概念を頭に入れておいたほうがいい。

何から手を付けるか、とか考えなくていいぞ。人生はマルチスレッドで、同時進行、何が突破口になるかも分からない。あっちで育ったことがこっちで役に立ち、こっちでできたことによってあっちが改善する、そういう話だからな。そしてどう動いていくかは予想できない。だから全体をよく意識して、どこからでもいいから動いていけばいいなと思って、まぁファッションとかできることからやったらいいさ。

長すぎだなこりゃ。君の役に立つことがあればいいが。
少しでも気が楽になったり、前に進みますように。