メリットはもちろんあるが君にはデメリットのほうが大きいかも校長もそういう人間だからな、そういう生き方は好きだ。人の生き方は比べられないが、いっぱい稼げなくても、少しでも収入になるだけで、普通のサラリーマンぐらいには価値あることだと思うぞ。

「外で働く、というか他人とかかわるメリットってあるのでしょうか？」
そりゃーあるさ、いっぱい。寂しくないとか、絆の強さによってある程度まで助けてもらえるとか、成長できるとか、価値観や世界が広がるとか。心へのメリットがなきゃ誰も人付き合いなんかしない。

それと外で働くメリットは、なんといっても、稼ぎ方を教えてくれることだ。自分で稼ぎ方をあまり創造しなくていい。エライ人が考えた稼ぎ方に乗って、能力を発揮すればいい（といっても会社員などにビジネスの創造性が完全にないとは言わないが）。

でもデメリットもあるよな。他の人を尊重したり合わせなくちゃいけない。自分の悪いところがあれば自己責任では済まずに責められ、キツい攻撃を喰らうかもしれない。傷つくよな。君はそのデメリットにさんざん傷つけられてきた。

一般論ではそういうデメリットだけれども、君にとっての固有のデメリットもあるかもしれないな。人付き合いとか社会に合わせることが苦手で、自分を削らないとやっていけない人にとっては、とにかく周囲に自分をフィットさせることに多大なコストを払うことになる。そのコストが損なだけでなく、それって創造性を削ることになるかもしれない。人との接触が創造性の肥やしになればいいけれども、「頑張って合わせないといけない」ということに疲れ果てて自信を失ったら、創造性にとってはマイナスになるってことも充分に有り得る。

だからまぁ閉じこもるのもいいんじゃないかと思うが、ならばはっきりとこう言いたい。

他人に関わって合わせていく、ということをしないで生きていくのは難しい。だがデメリットをほとんど背負わずに、人と関わりながら生きていく方法が、今思いつくだけでも２つある。

ひとつは、誰かにとことん愛され、人との関わりをその人だけに限定し、その人に社会と関わってもらうことだ。そういう隠れ蓑があれば、君は君を貫くだけで、生きていけるかもしれないな。

もうひとつは、君の活動が人に有無を言わせないほどに「突き抜ける」ことだ。君のやっていることや君の自信が「たいしたことない」と思われたら、君は影響力の強さで負けて、社会に関わろうとしたときに弱い立場に立たされる。それだとやっぱり人付き合いをして合わせていくか、孤立かを迫られてしまう。だけれども君のやっていることが突き抜けて、あの人はあれでいいんだと認められたり、周囲を黙らせるほどなら、たとえ人付き合いをしても、人にあまり合わせたり気を遣ったりしすぎなくていいんだ。人に気を遣わなくても人は勝手に寄ってくるし、そういう態度を見ていれば、人と接触するときに神経をすり減らすことがない。

君は自分の創作活動を通じて、自分は自分だからこれでいいんだと言えるかどうか、なんだよな。外との勝負なんだ。外に君が折られるか、外を捻じ曲げて君を通すか、だ。どんなに東京を秩序立てて効率よく整備しようとしても、皇居が真ん中にあれば、路線や道路は曲がるよな。君が折れなきゃ、外が君に合わせるようになる。

だから、やるなら家族も唸らせるぐらい、突き抜けなさい。死ぬ気でやりなさい。人付き合いが難しくて寂しくなったり弱ったりしたら、それすらも創作の肥やしにしなさい。普通の人と違う道をいこうとしたら、それはそれは大変な覚悟が必要だ。

でも最初に書いた通り、そういう生き方は好きだ。