校長の恋愛・人生相談室

No.67

彼氏の障害への考え方に不安を感じた

こんにちは、何回か相談を送らせてもらっています。
17歳女のMです。彼氏は28歳です。

昨日、彼氏と「胎内にいる子が障害を持っていたらどうするか」
という話をしていました。(私は妊娠していません、あくまで仮定の話です)
元はダウン症の話をしていた所から話が発展したんですけど、
私は、無責任かと思われるかもしれませんが
もし妊娠したら、絨毛検査をして、遺伝子に障害があると分かって、
また生きるのに困難、周りに多大な迷惑をかけてしまう障害ならば、
自分たちの勝手な都合だけれど、堕ろしてしまうかもしれない…
という事を言いました。(実際どういう行動を取るかはわからないけれど)

彼も私の言った事には同意見なんですけど、
なんていうか、胎内の子供を一人の人間として見ていない、物としか思ってないような発言をするんです。
そりゃ、法的には妊娠二ヶ月くらいまでは生命として認められていない?けれど
「ダウン症ってわかったらすぐに堕ろしてもらうね」など
論理的すぎて感情を無視された発言をされて、すごく悲しくなりました。
「○○は産まないからそんな事言えるけど、身ごもる女の方はそんな簡単に言われても気持ちを処理できない。
もし生命じゃないとしても可能性ある芽を摘むことには変わりないし、罪悪感あるよ」
と言いました。
そしたら、「じゃあ卵子と精子を捨てるのも同じ事だろ」といわれ違和感がありましたがうまく説明できませんでした・・・

私と彼の意見は一致しているのに、すごくモヤモヤします。
なんか、付き合っていく事にすごく不安を覚えました。
合わないな、と直感的に思いました。同じ意見なのに・・・
私が感情論なんですかね…
青二才がこんなこと考えるのが間違っているんですかね、正解なんてないし。
最後らへんはイライラしました。もうこの話は彼氏とはしないことにします。
長ったらしい愚痴でごめんなさい。

校長

彼に、葛藤がなく結論を出していることが問題すごいな17歳でそんな話をするんだな。それで彼氏が28歳。どっちが年上だか分からないな、これじゃ。

人それぞれいろいろな考えがあって、その話そのものに公の場で触れる覚悟まではここではないから、そこには触れないけども、君のように考える人がいるのはよく分かる。

彼氏が一見すると同じ意見を持っているように見えるのに、何か違う、何か違和感とか冷たさを感じたんだよな。それは話の結論が同じかどうかと関係のないことなんだ。

例えばヒグマが街までやってきて、人を殺すかもしれないし、畑を荒らすかもしれない。人間がヒグマの住める場所を減らしたんだから殺すのはかわいそうだという人もいるし、かわいそうだけれど守らなきゃいけないものがあるからやっぱり殺さなきゃいけないという人もいるよな。どんな結論に達するにしても、最低限、できれば無駄に命を奪いたくないという思いはあるだろう。あとは現実との葛藤で、何らかの結論を出す。

だけれども、もしそこで「いや人の生活を守っていくのは当たり前っしょ。殺そ殺そ」とかあっさり言う人がいたら、たぶん同じ結論の人も、その人と同調したくないと思う。奪われる命への敬意とか、自分たちがすることへの葛藤とかはないのかよ、と。

結論も重要だけれども、その結論に達するまでの心もまた重要なんだよな。あっさり「そうすればいいじゃん」ってものじゃないだろ、と。想像でも悩むし難しいし、きっとその現場になったらもっと悩んで苦しむ、それが当たり前だと思うのに、なんでそんなにあっさり言えるんだと疑うよな。この人はもしかして、論理的に正しいことや損得ばかりを目指して、自分の気持ちとかも尊重してもらえないのではと疑うよな。

だから彼の意見にモヤモヤしたのも当然だと思うぞ。まぁ、じゃあそこに倫理的な葛藤が湧いてこない彼の心が悪いのか、というとまた議論が一段階深まるけれども、少なくとも人の痛みとか命を奪うことへの罪悪感が理解できないんじゃ、これからも気持ちを共有していくことは難しいなと感じてもおかしくない。

精子と卵子を捨てるって話は論外だな。繁殖しないし、心を持ってないし、それは生命じゃなくて爪とか髪の毛みたいに代謝されていくものだから、とも言える。けれども本質はそこじゃなくて、まぁ例えば大事にしてたぬいぐるみとかは生命じゃなくても生命のようなものだし、つまり重要なのはそこに人の感情移入、愛情の注入ができるのかどうかってことなんだよな。そして胎児にもそういう思いがあって、現実問題と突き合わせたときに葛藤することが分かりませんか、っていうところで彼ともめてるわけだ。その感情移入するラインが、彼はあまりに冷たすぎるんじゃないのか、と。

まぁここまでその現場で言えないよな。よく分からないのも、そりゃそうだ。28歳でそれだもんなぁ。まいったな。

(感想があればこちらへ advice@rennai.ac