校長の恋愛・人生相談室

No.779

彼氏の喫煙をやめさせたいが、どういうアプローチが良いか

校長先生、こんばんは。31歳です。
1日に3本(平日の仕事の時はもっと吸います)喫煙をする40代の彼氏に、禁煙して欲しいと思っています。タバコの匂いが嫌いで、咳が出るからです。

◆彼に正直に「頑張ってみたけど、やはりタバコの匂いが嫌だ。咳も出て不快なのでタバコをやめてもらえないか」とはっきり言う。
◆「最近体調不良でタバコの匂いが特にダメになった」と家に行く回数を減らし、外でのデートのみにするなど、タバコを吸い続けると会う機会が少なくなることを思い知らせてみる。(その後、タバコやめて欲しい交渉)

どちらが良いアプローチ方法でしょうか。
まだ半年なので仲は良いですし、喧嘩すると彼が悪いと思ったところを逐一直してくれます。
ただタバコについてはとても減らしてくれましたが、今のところ、辞める気がないようです。
タバコは外出時、運転時は一切吸いません。自宅での毎食後のみなので許したいのですが、やっぱり半年付き合ってみて、1本でも吸ってると許せないのです。

周りの友人は彼氏に禁煙させた、と言ってる子たちばかりですがどうやってるのかと聞いても、「タバコ嫌いだからやめて」というだけらしく。。。そんな風に言ってやめてもらえるものなのでしょうか。

かいとういただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

-----2通目

ちょこちょこタバコの事を指摘していたり、現に咳が出てるのを見てるので、たぶんタバコについて指摘されるのが負担になってる気がします。
これ以上指摘すると、うんざりされそうな気もしますが、やっぱり適応するのは難しいです…

校長

交渉には心構えが必要だ昔からある相談だけど、タバコの件は厄介なことが多い。

タバコに対して何かコンプレックスがあるとか、タバコというのが(吸われることが)愛されないことの象徴になっているとか、タバコを吸う人のイメージがものすごく悪くて鼻くそをほじって食べる人ぐらい嫌だとか、こっちの気持ちの問題とも混ざっていて厄介なんだよな。それと「健康被害が心配だから」という思いがあったり、心配している風でも、本当はただ言うことを聞いてもらいたいだけという人もいる。そうやっていろいろ混ざってるから結構厄介なんだけども。

でも、君の場合は、普通に、ただただタバコの実害が嫌なんだなと思った。そうならば、例えばイビキがうるさいだとか、口が臭いだとか、そういう問題と同じで、悪いけど対策してくれというだけのことなんだよな。

もちろん彼が正しいとか君が正しいとかそういうこともないし、二人の合わないところを、どこまですり合わせていけるかという問題。そして君はもう譲れないんだろう?あとは彼がどこまで譲れるのか、はたまた、どれくらい譲れないのか、だよな。

で、君が挙げた二つの道、それは絶対に前者にしたほうがいい。

家に行く回数を減らして、タバコを吸い続けるとそういうことになるよと分からせてから交渉、なんてのは絶対にダメ。校長は君がそういう考えを一つの選択肢として挙げたことに警告を発したい。彼氏はサルじゃないんだから、身をもってまず体験させて染み付けてから、みたいな考え方自体がもう駄目だ。それは相手を尊重していないんだよな。ちゃんと話し合いとかが決裂して、それじゃもう会うのもつらくなるよ、ということを伝えてからじゃないと。君が挙げた後者のアプローチは、相手を尊重も信頼もしていないアプローチだ。

彼とこれについて交渉するなら、心構えが重要だな。

◆君は「自分が決して正しいわけではない」とよく心得ること。
◆君が正しいわけではないが、しかし譲れない。彼に折れてもらうしかないから、一生懸命に「お願い」すること。
◆ぎりぎりまで、「ならしょうがない。もう会うのを減らすしかない」などの制裁や対策に踏み切らないこと。
◆頑張ってくれたら嬉しい、頑張ってくれるなら協力したい、という姿勢を貫くこと。例えば感謝も伝えていくなど。

最初にタバコの問題は厄介だと言ったけど、タバコは世の中で悪者にされがちだし、ついついやめさせる側の自分が「正しい」という立場でものを言いやすいんだよな。違法行為でもないし、人生観もタバコや健康への価値観も違う二人が、これから寄り添っていこうという一過程であるということを忘れがち。しかも、こちらが絶対に譲れないとなったら、最初から「どうせこっちは譲れないんで。なんとかしてください」になりがちなんだよな。これが絶対に駄目。

例えばこっちが何らかの病気で、何らかの配慮が必要な場合、絶対に譲れないよな。「絶対に譲れないこと」を相手に負担させるときは、開き直ってはダメ。かといって卑屈になってもダメ。とにかく協力してもらえないとやっていけない、切実だ、と分かってもらうことが大事であって、その過程を面倒くさがったり不信感に満たされて頑なになってはいけない。ちゃんと分かってくれるはずだ、という信頼をぎりぎりまで持って交渉しないといけないんだよな。「絶対に譲れないこと」を抱えている側は、お願いすると立場が弱くなるんじゃないかとか、押し付けて相手が怒ってこちらが傷つくんじゃないかとか、そういうことを恐れているから(勝手に不信感が高まるから)、丹念に丁寧に協力を促すということが難しくなるんだけども、そういうときこそ丁寧さと相手を信じる心が大事。お願いすればきっと通じる、と。

それで、その交渉が決裂するとこうなりますよ、というのをチラつかせるのも、不信感ゆえのアプローチだから、ぎりぎりまで我慢しないといけない。そういうのは、信頼するアプローチをさんざんやり尽した後で持ち出すものだ。

どうしても協力を得られなければ、それこそ「会う回数も減っちゃうよ」とか言って、半ば脅しのような不信感アプローチを出し、実際にそうなっても仕方がない。それでも決裂したら、いよいよ別れるかもしれないとかそういう段階に入っていく。

こういう順序をよくよく心得ておいてほしいなと思う。

あとはもう彼がうんざりしながらも付き合ってくれることを願うのみだな。
健闘を祈る。

(感想があればこちらへ advice@rennai.ac