恋愛の基礎ドリル

第1回 恋愛を見えなくするもの

◆ 心のめがね

まず第一に理解してほしいことがあります。それは、私たちは、たとえ同じものを見ていても「見え方」は人それぞれ違いますし、同じ出来事を体感しても「感じ方」は人それぞれ違う、ということです。

例えば私たちが同じ空を見ているとして、みんな同じように「青い」と言うかもしれませんが、ある人にはくすんだように見えていたり、ある人には鮮やかに見えていたりするでしょう。それは色を感じる「感覚」の違いでもあり、健やかな気持ちのときに鮮やかに感じるなど「感情」の違いでもあります。例えばある人形が、あるときには落ち着いて見えて、あるときには何か企んでいるように恐ろしく見えることもあるでしょう。

私たちは、心の外の出来事を、自分の心でキャッチしています。ですから、心の状態によって、その感じ方は違うのは当たり前のことです。サングラスをかければ世界が暗く見えるように、心のめがねについた色によって、世界の見え方はがらっと変わるのです。

◆ 自分の心が見えない

例えば自分(男性だとします)の彼女が、他の男性と二人で食事に行ったとします。そのことについて「お前は常識がない」「普通は彼氏ができたら男とは遊びにいかない」「男は女を友達としては見ていない。警戒しろ」と批判したとしましょう。

このとき、彼女が本当に「常識がない」かどうかは、意見が分かれるところです。この「常識」については一つの論点でありここでは触れませんが、一方的に「相手が悪い」と思っているときには、そこに自分の不安やコンプレックスがあることにはなかなか気付かないでしょう。例えばこの場面で言えば、自分の価値や相手の気持ちに不安を持っていることや、いつのまにか彼女を思い通りにすることで解決しようとしていること、相手の気持ちを理解しようとは思わないこと、自分には女友達がいないというコンプレックス、などを抱えていることにはなかなか目がいかないでしょう。

◆ 自分の心をよく知ろう

上記の例で言えば、そういう自分の弱い心に気付きたくないから、「相手が悪いのだ」という心のめがねをかけて、手放そうとしないのだと言えます。私たちは、他の人が自分と同じだと勝手に思い込んだり、人の気持ちを勝手に決めつけたり、自分の気持ちを認めなかったりして、心のめがねを頑なに守ります。まずはそれを手放して、外ばかりではなく、心のめがね(自分の心)そのものにも目を向けていくことが、恋愛学習の第一歩だと言えるでしょう。

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