恋愛の基礎ドリル

第6回 言葉と行動と心

◆ なぜピアノを機械が弾いてはいけないのか

いきなりですが、なぜ演奏会でピアノを機械が弾いてはいけないのでしょうか。または、ピアニストは、ただ「楽譜の通りに弾ければいい」というわけではないのは、なぜでしょうか。ここに「言葉と行動と心」で言いたいことの全てが詰まっています。

◆ 言葉と行動

ある人が、好きな人に「ずっと好きだった」と告白して、相手の心を突き刺したとします。その人が他の人にこう伝授したとしましょう。「告白なんてシンプルな言葉でいいんだよ」と。それを聞いた人が「そうか。ずっと好きだったと言えばいいのか」と真似をして「ずっと好きだった」と告白したとき、それは相手の心を突き刺すでしょうか。

その人のセリフを真似するだけでなく、声までモノマネしたら心を突き刺すでしょうか。まるで楽譜をそのままだらーっと弾くように、同じことをしたからといって、同じような効果をもたらすとは言えないでしょう。そこには、二人の間に流れる気持ち、これまでの経緯、キャラクター、その場の雰囲気、無意識下でのやりとり、様々なものが流れています。言葉や行動の問題ではありません。

◆ どうすればいいか

私たちは恋愛で悩んだとき、多くの場合「どうすればいいか」「何て言えばいいか」と悩みます。それは当たり前のことですが、言葉や行動の問題ではないということが、とても多いのです。仲直りのセリフを誰かが考えてくれたからといって、棒読みをすれば仲直りできるのかといえば、そうではないでしょう。心の整理が必要であったり、相手の気持ちを受け止めることであったり、もっと内面的な活動が重要になっているということを見落としがちです。

◆ 言葉や行動も重要

極端に言えば、「告白のときに何を言うべきか」は、心のことに比べれば重要ではないでしょう。「好きだよ」でも「好きです」でも、無言ですら通じることがあるかもしれません。

ですが、内側に込められたものを「よりしっかり伝えるために」、言葉や行動も重要です。良い楽譜(音楽)があったからといって良い演奏ができるとは限りませんが、良い言葉や行動があったほうが、良く伝わるのは間違いないでしょう。これは決して軽視しすぎてはいけません。

◆ 言葉と行動と心

言葉や行動と、心、それがどういう関係であり、どうお互いに影響を持つのか、それはここでは語りません。しかしなんとなく分かるのではないでしょうか。少なくとも、言葉や行動という分かりやすいものに引きずられ過ぎてはならないということが、なんとなく掴めることと思います。

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